こちらの記事では、地震や感染症など万が一緊急事態が発生した際に、児童・生徒へ支援を継続するために必要なBCPの策定について解説しています。全知P連が発行しているガイドラインの内容を参考にして、どのようなフローでBCPを策定すれば良いのかをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会(全知P連)では、「特別支援学校における事業継続計画(BCP)策定のためのガイドライン」を発行しています。このガイドラインには、地震や感染症といった緊急事態が発生した場合にも児童生徒への支援を継続するためのBCPの作成方法や策定時の考え方が記載されています。
また、策定方法だけではなく、BCPを検討するにあたって一般的に必要とされている検討事項や、学校独自で検討を行うべきであると考えられるポイントもまとめられています。これからBCPを策定する場合には、ぜひ目を通しておきたい内容といえます。
上記でご紹介した「特別支援学校における事業継続計画(BCP)策定のためのガイドライン」では、それぞれのステップごとに学校としての方針検討やリスク想定、災害時に対応するべき業務の詳細など、具体的な指針が示されています。ここでは、検討しておくべき内容を簡潔にフローとしてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
まずは事業継続を継続するための基本方針の策定を行います。具体的には、対象とする範囲や推進する体制、スケジュールに加えて、BCPの目標を明らかにしておきます。
続いて、災害や感染症など事業に対して深刻な影響を及ぼす可能性があるリスクにはどのようなものがあるのかを特定します。そして、それによって引き起こされる被害のシナリオを想定します。
想定シナリオとしては、児童生徒への対応がある「平日の午前10時」を想定し、その後、教職員がいない「平日の夜間10時」について検討を行います。また、建物についてはまずは建物が使用できる前提でBCPを検討した後、より困難な状況として建物が一部使用不可となる状況も想定して検討することが大切です。そして被災後3日間は電力やガス、水道が供給停止、電話や通信は通常通りの利用が難しい状況が困難である状況を想定します。
災害が発生した場合に実施するべきと考えられる緊急対応や、復旧のために対応する業務にはどのようなものがあるのかを選定した上で、優先順位を考えます。
ここでのポイントは、実施すべき災害対応業務を挙げた上で、時系列で整理をしていく点です。例えば、発災直後であれば「火災対応」「避難誘導」「応急救護」「安否確認・声かけ・報告」などが考えられますし、発災当日は「災害対策本部の設置」「教職員の安否確認、報告」「不在の児童生徒の安否確認、声かけ、報告」「保護者や学校関係、行政等への連絡」「保護者への引き渡し」「避難所の開設」といったように非常に多くの業務が考えられます。これらの業務に対して、実施の際の考え方をまとめておきます。
社会的な要請や教育的な観点に基づいて、学校が最も重要とする業務を選定します。その上でその業務に必要となる資源を整理し、業務の遂行や早期の復旧を妨げるボトルネックとなる部分を特定します。
ボトルネックとして考えられる項目としては、災害対応体制に不備がある、ライフライン停止、教職員が参集できないなど様々なものがあります。
ボトルネックへの対策案を検討します。さらに、対策を行うにあたっての実施体制や期限を明確にします。上でご紹介した通り、災害発生時には様々なボトルネックが出てくることが想定されます。そのため、過去の災害事例などをもとにして、対策を検討するようにします。
ここまで紹介してきた①〜⑤の工程を取りまとめたBCP文章を作成しておき、万が一災害が発生した際に迅速に対応が行えるようにしておきます。
もし災害が発生した場合に必要となる事前対策を実施しておくこと、さらに定着させるための教育や訓練を実施し、定期的な見直しを行ってBCPの改善と向上を図ります。
こちらの記事では、万が一災害が発生した際に備えたBCPの策定方法をまとめてきました。フローに従うことによって、特別支援学校が災害時にも迅速に対応し、BCPを構築できるようになるといえます。また、学校の独自性を考慮し、地域の特性や児童生徒の医療ニーズに合わせてBCPを策定することも求められます。
下記のページでは、特別支援学校のBCP対策のポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。