自然災害が多くなっていて、防災意識は高まってきています。しかし、意識が高まる一方で、「何をどう対策していいか分からない」「対策しなくてはとは思うけど、リスクを現実的にとらえられない」など、実際の行動に移せておらず、不安ばかりが募ってしまうこともあるかもしれません。まずは、どの程度のリスクがあり、どのような対策が必要かを知るところからはじめていきましょう。
近年、日本各地でこれまでに経験したことがない規模の自然災害が猛威を振るっています。そんな中、話題になっているのがM8~9の「南海トラフ地震」やそれに準ずる大地震です。この規模の地震が起こると、インフラは麻痺し、全壊あるいは焼失ビルは238万6千棟になるだろうとも言われています。
地震発生時でも事業を途切らせないために重要になるのが事前の準備。防災グッズの準備はもちろんですが、緊急時の事業継続計画が大切です。日本に住んでいる私たちは、常に地震リスクと隣り合わせです。
数値として示されている地震発生率は、実際に起こる大規模地震と一致するわけではありません。また、「30年以内の発生確率」は30年後に発生する確率ではありません。
いつ起きてもおかしくないのが大規模地震です。いつでも対応できるようBCP対策をとっておく必要があります。
コロナ禍では、事業も大きな影響を受けています。新型コロナウイルスは、感染症がこれほど経済活動にダメージを与えるものだということを浮き彫りにしたとも言えるのではないでしょうか。事業の縮小と緩和を繰り返しながら、いつまで続くか分からないコロナ禍で、できる限り傷を浅く、事業を継続していくためには、やはりBCPが必要です。従来のBCPでは機能しないケースもあり、新たに見直しが必要となっているかもしれません。
感染症は、影響を受けるエリアが広く、場合によっては世界中同時に影響があります。事業をグローバルに展開しているからといっても安心とは限らないのが痛いところです。自社だけではなく、周りの状況も考慮しながら、事業継続を判断するのも難しい判断となるでしょう。しっかりとしたBCP対策を構築しておき、いざというときに迷わず適切な判断ができるようにしておきたいです。
南海トラフ地震とは、静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけての海底で起こりうる巨大地震のことです。マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に70%から80%の確率で発生すると予測されています。死亡者数・全壊・焼失する建物数・経済被害の推計値はそれぞれ、約32万3,000人、約238万棟、総額220兆3,000億円で、被害の規模は東日本大震災を大きく上回るとされています。
国土交通省は南海トラフ地震の対策計画を発表し、避難行動の支援や被災者の安全確保、建物の耐震化、防災訓練の実施計画などについて策定しています。中部電力と倉敷芸術科学大学のBCP事例も紹介していますので、BCP対策の参考にしてください。
首都直下型地震とは、東京都、茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、山梨県を含む南関東地域のいずれかを震源に起こる、マグニチュード7クラスの巨大な直下型地震のことです。今後30年以内に70%の確率で起きると予測されています。死亡者数・全壊・焼失する建物数・経済被害の推計値はそれぞれ、約2万3,000人、約61万棟、約95兆円です。
国土交通省による首都直下型地震の対策計画では、応急活動のための体制構築や避難支援・誘導、迅速な救命・救助活動、建物の耐震化、避難路や避難場所の確保などが計画されています。鹿島建設と順天堂大学医学部付属浦安病院の事例を参考に、BCP対策について検討してみてください。
大雪が降ると、物流が停滞したり車両が立ち往生して交通に大きな影響を及ぼしやすくなったりします。企業が大雪における安全対策を講じる場合、気象庁の情報を速やかに入手したうえで対策していく必要があるのです。ここでは、大雪・雪害に向けたBCP対策について説明していきます。
水害は、年々被害が甚大化しています。温暖化による異常気象が関連していると囁かれていますが、毎年のように国内のどこかで水害が発生している点を踏まえると、水害対策が重要なものであることに気付かされるのではないでしょうか。直接的な被害を受けるだけではなく、被害にあったものを乾燥させるだけでは原状回復できないケースも多いだけに、水害のBCP対策は他の対策とは異なる視点が求められるので覚えておきましょう。