BCP対策は災害時の事業早期復旧・継続のために重要なものですが、海外子会社を持つ場合には「グローバルBCP」の策定も欠かせません。ここではグローバルBCPの概要や策定方法、策定の際に注意するべきポイントについて解説します。
グローバルBCPとは、災害が発生した際の行動計画や被害などをまとめた事業継続計画書として、本社と海外子会社でそれぞれ策定される文書のことです。
事業が災害により中断されてしまった場合、早期の復旧が求められますし、重要性の高い事業であれば災害が発生しても継続しなければならないでしょう。そしてそのためには、災害場発生したときの行動計画・リスク分析・被害の想定などをまとめて書類として策定し、海外子会社も含めて組織内に浸透させなければなりません。
グローバルBCPとは日本の本社だけでなく、海外子会社を含めて、事業を早期復旧・継続させるための規範となる文書です。
BCP対策としてグローバルBCPを策定するには、まず本社と各海外子会社の役割からそれぞれの重要性とリスクの分析を行い、ガイドラインを作成した後に文書として策定します。
グローバルBCPは各子会社があるエリアの情勢や地理的な災害の発生確率と、売上・収益性を考慮した上で策定しましょう。事業が停止し得る確率と、事業が停止した際の影響の大きさを検証することで、BCP対策の必要性が高い海外子会社を判断できるためです。
BCP対策の必要性が高い子会社が明確になったら、最低限行うべきことと、余裕があれば実践したいことの2種類に分類しながらガイドラインを作成します。ガイドラインを作成したら、子会社ごとにグローバルBCPの策定を実践してください。
グローバルBCPを策定する際の注意点は、国や地域によりリスクへの考え方、リスクの種類、リスクの発生確率、リスク分析の細かさが異なることです。
発展途上国ではリスクへの考え方が厳しくない傾向があり、中にはハザードマップの精度が低い場合もあるでしょう。「BCP対策が策定済み」としている海外子会社であっても、日本の「策定済み」よりも精度が粗いことなども考えられるため、子会社ごとの状況を適切に把握することも大切です。また国によっては暴動やテロなどの災害の可能性を視野にいれることも必要であり、災害について日本と同じように考えないことに注意してください。
ただし各国・地域ごとのリスクを想定することは重要ですが、想定リスクをひとつに絞りこむことなく、ありとあらゆる不可測の事態に対して対策を実施することを心がけましょう。