LCPは生活継続計画「Life Continuity Planning」の頭文字をとった言葉で、大規模な地震や台風といった災害・感染症等のリスクが増加している中で、家庭でも身の丈にあった範囲で対策をとるため、防災・減災などに備えていくことを指します。
家計への負担をできるだけかけずに、生活基盤である「衣」「食」「住」を安定させ、自分自身や大切な家族の命を守ることができるよう、あらかじめ計画を立てて準備していくことが大切です。具体的な対策の例としては、停電でもエレベーターが稼働、水が供給できるようになっている物件や、防災マニュアルや備蓄により災害時でも自宅で過ごせるよう対策が練られているかなどです。
災害時の計画として似た用語であるBCPは、Business Continuity Planningの頭文字をとったもので、事業継続計画といわれています。地震や洪水、感染症拡大等のリスクを事前に想定して計画を立てます。BCPは企業の事業継続を対象とした考え方であるのに対し、LCPは個人やその家庭の居住・生活を継続させることを目的にしている点にちがいがあります。
LCPは個人、BCPは企業が主体となって策定します。主体は異なりますが、双方に関連性をもたせることは可能です。例えば、大規模災害時にBCPの一環としてLCPを整えておくことで、従業員とその家族の安全対策を考えておくことで、従業員が被災した後も出社が可能となり、ひいては事業を継続につながります。
「LCP」を従業員とその家族が取り組むことで、企業側の「BCP」策定がより強固なものとなり、事業継続の早期再開も考えられます。そのため、従業員やその家族がLCPに取り組みやすいように、企業側がバックアップ制度をつくり取り組みやすくすることが大切です。
久保俊一郎氏が論文「Risk and Management」※の中で大規模地震等災害発生時に企業が事業継続を図るために必要なLCP策定手順を紹介しています。
この論文の中で紹介されている「生活継続戦略 14項目」を紹介します。
平常時に訓練や避難・徒歩帰宅経路の確認を日常的に行っておくことでよりスムーズに行動できるようになります。また、被害状況に応じた行動判断や安全対策はすぐに思い付きで行動できるものではなく、日常的に家族と話し合うことが重要になります。
今住んでいる住宅が昭和56年6月以前に建てられている場合は、まず耐震診断を行って耐震補強をして、住宅の強度を高めておきましょう。また、ひしゃげたような形の崩れた揺れでは、突っ張り棒は役に立ちません。鎖での固定は震度7の場合は意味がないため避けましょう。L字型固定が好ましい対策ですが、そのほか転倒防止ゴムを使用して揺れに備えましょう。
寝室・枕元に置いておくもの
下駄箱に置いておくもの
睡眠中に災害が起きた場合に備え、音を出して周囲に居場所を知らせるホイッスル、ガラス等の破片が落ちていても移動できるスリッパ、連絡手段になる携帯などあらかじめ準備しておきましょう。玄関付近には、懐中電灯やバケツといった屋外での活動や水をためて置ける備品を置いておくと役立ちます。帽子は精神的なダメージや恥ずかしさを和らげるためにも使用できるので玄関に置いておくと良いでしょう。
レトルト食品はアルファ米や缶詰などのすぐに使えるもの、水や緊急用トイレは1日当たりに必要な分を計算に入れて準備しましょう。携帯用のウエットティッシュやカセットコンロのボンベなどの常備、マスクも準備しておけば感染症予防にもなります。
災害時にいきなり使うのではなく、家族全員で非難必需品の使い方や水のないトイレを流す方法など使用方法の確認や連絡方法(災害用伝言ダイヤルや伝言板)・避難方法などを話し合っておくことが重要になります。
津波が来る想定地域や水・食料の消費期限・物品の動作ができるかを年に1度は確認するようにして、水がない時の確保の方法を確認することはLCPにつながります。日常的に実践しておきましょう。