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水害に対するBCP対策

水害もまた、BCP対策の一環として考慮しておくべきものですが、水害にもさまざまな種類があります。そこで、このページでは水害の種類や想定される被害、それらを踏まえての対策についてまとめています。

水害で起こり得る被害

人的被害

いわゆる「人」の被害です。例えば、会社が洪水に巻き込まれて生命の危険にさらされたり、家が被害にあって帰宅できなくなったり、避難所で生活を送っている、あるいは水害によって怪我を負うなどの被害も考えられます。設備に関しては復旧することができますが、人的被害は簡単には取り戻すことができないだけに、対策を検討すべきものです。

物的被害

会社の建物が被害を受けることもあります。洪水で浸水すると、OA機器などはその後の利用が難しくなるでしょう。駐車場に停車していた営業車が浸水すれば、廃車になってしまう可能性もあります。このように、乾かす程度では元に戻せないものも多いです。他にも、工場の設備に被害が出た場合も物的被害に該当します。物的被害は、新たに設備を新設することができるとはいえ、環境を整えるまでは操業が難しくなるでしょう。復旧まで同様の利益の確保が難しくなりますし、新たな設備投資の費用も必要になります。

クライアント・取引先への被害

会社は自社だけで成り立っているものではありません。さまざまな取引先がつながっていますので、会社が水害にあったことで、納品物が被害を受ければ、クライアントや取引先にそのまま納入することはできません。新しく納入するための時間が必要ですが、その間にクライアントや取引先は納入品を元にした事業が行えなくなります。このように、水害被害は自社だけではなく、自社の取引先やクライアントにも被害を及ぼします。取引先やクライアントにとっては、水害は同情すべき事情ではあっても、然るべきものが納入できないとなれば、損害を受けるので、その後の取引に支障をきたす可能性があります。

調達先への被害

水害を受けることで調達先にも影響が出ます。調達できなくなるといった直接的な被害だけではなく、調達先と連絡が取れなくなったり、資金に余裕がなくなって、調達継続が難しくなるなどのリスクも懸念されます。

水害の種類

洪水

河川の量が増えた状態を「洪水」と称します。雨量が増えることで河川の水量も増え、通常時には水がない川辺や岸にも水が浸かる状態です。近年は集中豪雨による洪水にて、河川のキャパシティを超え、周辺に水害を及ぼすケースが増えています。

氾濫

河川の水が溢れてしまう外水氾濫と、街に水が溢れた状態を指す内水氾濫があります。いずれにせよ町に水が溢れ、生活インフラが正常に作動しなくなります。

高潮

潮位・水位が高くなる状態です。内陸部にはさほど影響はありませんが、沿岸部には被害が出るケースもあります。

波浪

強風によって波がうねる状態を指します。こちらも内陸部には被害が及びにくいですが、沿岸部は被害が出る可能性があります。

津波

地震によって生じた膨大なエネルギーが、海水に大きな波を生むものです。東日本大震災での津波被害によって、津波が決して軽視できないものだと気付かされた方も多いのではないでしょうか。

水害に備えたBCP対策

具体的なリスクの把握

まずは実際に水害が起きた際、どのようなリスクが生じるのかを把握しましょう。その際、より具体的であればあるほど効果的な対策を講じることができます。まずは会社や自宅のハザードマップを調べてみましょう。大雨が発生した際、会社や自宅にどのような危険が想定されているのかを調べることができます。つまり、想定される被害に備えた準備も可能です。例えば、洪水の可能性が高いエリアであれば、洪水への備えは必須です。ハザードマップには水害だけではなく、想定される災害が記載されていますので確認しておきましょう。

備蓄品の準備

ハザードマップを確認し、想定される被害に基づいた準備が大切です。なかでも、重要なアイテムとなるのが備蓄品です。水害が発生した場合、その後飲食ができなくなる可能性も十分に想定されます。かつては3日分程度の備蓄があれば良いとされていましたが、近年では自宅で最低でも2週間籠城する覚悟が必要との認識に変わりつつあります。水害によって、自宅や会社周辺だけではなく、交通インフラが遮断されてしまったら、3日間程度では状況が改善されないとの考えが広まってきました。そのため、周辺インフラが改善されるまでは、備蓄で何とかしなければならないケースも十分に想定されます。

浸水対策

会社や自宅が浸水してしまうと、乾かした程度では元に戻らないだけではなく、浸水による水流によって物が散乱します。そこで、浸水の対策も求められます。例えば、プリンターやポリタンクにはレジャーシートを巻くことで、浅めの浸水であれば防ぐことができます。ゴミ袋に水を入れ、段ボールなどに保管しておくのも手です。これにより、侵入してくる水を防ぐことができます。その場にあるもので堤防的なものを作ったり、あるいは洪水になると汚水が逆流してくることもありますので、排水溝の近くには重量物を備えておくのも良いでしょう。浸水を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、被害を軽減するだけでも、その後の状況が大きく変わりますので、「何をしても無駄」ではなく、「少しでも被害を軽微なものにするため」の対策を実践しましょう。

実際の予報に対するアクション

水害は急に起きるものではなく、天気が乱れた時に起きる可能性の高いものです。そこで、大雨や台風に対しての備えを取ることも大切です。例えば、気象情報のアプリをインストールして悪天候時にはどれだけの雨量が想定されるのか確認しましょう。自社に影響が出るのか、予報されている天気に基づいて想定される水害に対応できる体制は整えられているのかを考えてみましょう。危険度が高い部分には補強するなど対策を取ることで、実際に水害が起きた時の被害が軽減されることでしょう。

避難に関するフローの整備

水害はいつ起きるか分かりません。会社にいる時に水害に巻き込まれる可能性もありますので、どのように避難するのか、フローを整備しておきましょう。もちろん自宅における避難フローの確認も大切ではありますが、会社の場合、多くの社員が一斉にバラバラの行動を取ることで、かえって危険性が高まるケースがあります。一種のパニック状態となってしまい、正常な判断ができなくなってしまったことで水害被害を甚大化させてしまうリスクもあります。そのため、社内で避難フローを徹底し、いざという時にも冷静な行動ができるよう対策を練ることも大切です。社内で避難訓練を実践するのもよいでしょう。日頃の業務で忙しく、まとまった時間の確保も難しいかと思いますが、時には避難訓練を行い、「もしもの時にどう動くのか」という認識のすり合わせも重要です。いざというときに訓練を思い出して動けます。頭の中だけで理解するよりも、身体に染み込ませることで対応しやすくなるでしょう。