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BCP対策におけるチェックリスト

BCP対策においては、BCP見直しのためにチェックリストを用います。ここでは、BCP対策におけるチェックリストの各種項目の説明から始め、各項目が十分でない場合にどのようなリスクが生じるかなどを見ていきましょう。

目次

中小企業庁が提示する「BCP取組状況チェック」

BCP取組状況チェックは、主に以下のような項目で構成されたチェックリストです。

BCP取組状況チェックにでは、これら5つの項目にそれぞれ「はい」「いいえ」で回答する4つの設問が設けられています。そして、合計20問の設問で、「はい」と回答された設問の数で、BCPの取組状況を診断するものです。

チェックリストの診断結果は、「はい」の回答数によって3つに分けられます。

BCP取組状況チェックのチェック基準

「はい」が16個以上は「良い」とされる範囲です。その会社は事業継続のためのBCP対策が十分にできており、チェックリストに記載している指針に沿って事業を進めることで、BCP対策をより強力なものとすることができます。

「はい」が15~3個だった場合は、緊急時の備えはできているものの、改善すべき点はたくさんある状態です。チェックリストに記載されている指針に沿ってより実践的なBCP対策を講じて、緊急時のみならず平常時のトラブルにも備える必要があります。

「はい」が3個以下の場合は、悪い状態と考えましょう。BCP対策が十分にできておらず、現状でなんらかのトラブルが発生しても、それに上手く対応することはできない可能性があります。トラブルが発生した場合、その会社は長期間に渡って業務が停止するか、最悪の場合廃業となってしまう可能性が非常に高いです。そのため、早急にBCPの策定と運用を行う必要があります。

参照元:中小企業庁公式HP/1.3 BCP取組状況チェック(https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_01_3.html)

BCP取組状況チェックの項目別概要

人的資源

人的資源とは、4つの経済資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」の中のヒトのみを特に指して言う言葉です。人的資源という言葉は、主に資源としての人材、つまり従業員を示します。人的資源の概念は、アメリカにてHuman Resource Managementの概念が誕生したことをきっかけに普及するようになりました。

BCPチェックリストの人的資源の項目には、従業員の安全を確保するための対策はあるか、緊急事態の際の従業員との連絡手段は確保されているかなどが問われています。

人的資源は業務の根幹を支えるものなので、これが不足すると業務自体を回せなくなります。人的資源が不足した際の代替案としては、臨時従業員を確保することが挙げられます。

物的資源(モノ)

物的資源(モノ)とは、オフィスとして使用する建物や備品、設備などをはじめとする物理的な資源のことを言います。物的資源(モノ)に分類されるものは幅広く、工場や倉庫などの施設、社用車やトラックなどの車両はもちろんのこと、会社の敷地としての土地やパソコンにインストールされているソフトウェアなども含まれます。

物的資源(モノ)が不足すると、人的資源が十分であっても従業員が使うべきモノがないので、人的資源を持て余すことになります。また、業務に使用する設備や備品が不足すれば、業務効率も低下するでしょう。反面、物的資源(モノ)にはコストがかかるので、ただ単に量を増やせば業務効率が向上するというわけではないことにも注意が必要です。

物的資源(モノ)が不足した時の代替案としては、別拠点の生産ラインの転用、設備のレンタルなどが考えられます。

物的資源(金)

物的資源(金)とは、オフィスの賃貸料や社員に支払う給与、備品の購入などに用いる会社の運営資金のことです。4つの経済資源のうち、ヒト・モノ・情報を確保するためには、この物的資源(金)が欠かせません。また、物的資源(金)は現金だけとは限りません。借り入れ金、株式、債券などの現金以外の資産も物的資源(金)に含まれます。

物的資源(金)は、経営規模に直接影響する要素です。そのため、これが不足すると経営資源も不足し、経営のための選択肢も狭まってしまうので経営規模も小さくなってしまうのです。

物的資源(金)が不足した際の代替案としては、各種保険や国・自治体が運営している補助金の利用などが考えられます。ほかにも、内部保留金や共済制度で不足分を補うという選択肢もあるでしょう。

物的資源(情報)

物的資源(情報)とは、顧客情報や市場のデータ、企業内の資金の動きなどといった無形財産のことです。著作権や特許、統計データや業務に関する各種ノウハウや蓄積されたデータなども含まれるので、物的資源(情報)はある意味ではさまざまな資源の中でも、とても重要なものだと言えるでしょう。

特徴的なのは、人的資源に属する物的資源(情報)があるという点です。すなわち、特定の従業員の持っているノウハウや専門知識、専門技術なども物的資源(情報)に含まれるのです。

物的資源(情報)が不足すると、業務におけるさまざまな点で不具合が生じます。業務の方向性が指定できなくなったり、過去のデータを参照できないために業務の正確性が失われたりするでしょう。

物的資源(情報)が失われたり不足したりすることを防ぐためには、情報の保管が欠かせません。しかも、ペーパーメディアだと保管場所を確保しなくてはいけなかったり過去の情報を参照したりすることが困難になるため、デジタルデータとしてバックアップするのがいいでしょう。さらに、それらのデータをクラウド上に保存すれば、ハードウェアの不具合や破損でデータが失われてしまう心配もありません。

体制等

最後の項目となる体制等は、業務を行う上での規範や命令系統などのことです。これらはスムーズに業務を行ったり、的確に資源を管理したりするのに欠かせません。また、社内に取り入れた人的資源を適切な部署に配置したり、業務の進行を管理するためにも欠かせません。

体制等に不足があると、業務がスムーズに進行できなくなります。また、人的資源をはじめとする資源が豊富にあってもそれらを適切に運用することが難しくなり、無駄が生じるようにもなるでしょう。ほかにも、想定外の自体が起こった時の対処が遅れがちになり、業務が滞りがちになることが考えられます。

体制等に不備があるときの対策として考えられるのが、緊急時の指揮系統や少人数での運営体制を確保しておくことでしょう。業務中に各種の資源不足によるトラブルが起こっても、体制をしっかり整えておけばスムーズに対処して事態を立て直すことができます。また、トラブルが起こっても業務への影響を抑えつつ業務を遂行できるので、業務全体が停滞することを防げます。

BCP策定後もチェックを怠らない

チェックリストを用いて各種項目をチェックしたり、BCP策定した後でも油断は禁物です。

そもそも、BCPチェックリストは、項目をチェックして終わりというものではありません。チェックを通して、自社が立てているBCP対策の充実度を判定したうえで改善点を見出し、BCP全体に対する評価を見直すことを目的としているのです。そのため、チェックそれ自体よりも、むしろチェック後にどの様な改善点を見出し、その改善点をしっかり実行できるかどうかが重要なのです。

もちろん、チェック後に設定した改善策がいざというときに機能しないのでは意味がありません。改善策がほんとうに有効かどうかをチェックし、さらに今後もその対策が使えるかどうかまでもしっかり考えて、はじめてBCP対策は成立するのです。