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南海トラフ地震とBCP

南海トラフ地震とは

南海トラフとは、静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけての海底で、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる場所のことです。海洋プレートが大陸プレートに沈み込むことで、プレートの境界には「ひずみ」がたまっていきます。プレートがひずみに耐えられなくなると一気にずれ動き、巨大な地震が発生します。これが、「南海トラフ地震」です。

南海トラフでは、100年から200年に1回ほどの頻度で、マグニチュード8.0レベルの巨大な地震が発生しています。記録のある最も古い地震は、西暦684年の白鳳(天武)地震です。最も新しい地震は、西暦1946年に起きたマグニチュード8.0の「昭和南海地震」で、西日本に広く大きな被害をもたらしたとされています。

南海トラフ地震の被害想定

南海トラフ地震の被害想定を、被害エリア・被害人数・建物への被害・経済被害の4つの観点から解説します。

被害エリア

南海トラフ地震で想定されている被害エリアは広範囲にわたり、主に東海・近畿・四国・九州地方です。政府の地震調査委員会によると、被害の規模は東日本大震災を大きく上回ると想定されています。

被害人数

南海トラフ地震の発生による死亡者の推計値は、関東から九州にかけての30の都府県の合計で約32万3,000人です。大きく被災するエリアを分けて予測すると、死者数の推計値は以下の通りとされています。

また、地震発生から1週間で、避難所や親戚の家などに避難する人の数は最大で950万人、不足する食料は約9,600万食と推計されています。

建物への被害

南海トラフ地震の揺れや火災、津波などにより、約238万棟の建物が全壊・焼失すると推計されています。大きく被災するエリアを分けて予測すると、建物の全壊・焼失総数は以下の通りとされています。

建物への被害には耐震化が有効です。内閣府が2019年5月に公表した推計によると、耐震化率の引き上げにより、全壊または焼失する建物は約238万棟から約209万4000棟に減少するとされています。

経済被害

南海トラフ地震により被害を受けた建物の復旧費用、企業や従業員への影響も考慮すると、経済被害は総額220兆3,000億円に上ると推計されています。これは、国家予算の2倍以上にあたる金額です。

南海トラフ地震の発生確率

政府の地震調査委員会によると、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に70%から80%の確率で発生すると予測されています。

国土交通省の発表する地震対策計画

国土交通省が発表している南海トラフ地震の地震対策計画は、大きく「応急活動計画」と「予防的対策」の2つに分けられます。

「応急活動計画」としては、まず、指揮命令系統の確立や消防、警察、自衛隊、各地方公共団体、災害協定を締結している建設業者などとの連携、食料や燃料などの確保や輸送、配分が重要です。そのほか、住民の避難行動の支援、避難者や帰宅困難者の受け入れ体制の整備、交通機関の安全確保、迅速で正確な情報収集・発信、二次被害の防止、地方公共団体へのリエゾン派遣などが計画されています。

「予防的対策」の内容は、住宅や建築物の耐震性の向上や公共施設の耐震性強化、大規模な火災を予防するための市街地や幹線道路などの整備、津波からの避難路や避難場所の確保、防災訓練の実施などです。

南海トラフ地震に備えたBCP事例

南海トラフ地震に備えたBCP事例として、中部電力と倉敷芸術科学大学の2つの事例を紹介します。

中部電力

中部電力ではBCPを作成し、設備対策や復旧計画を立て、南海トラフ地震に備えています。設備対策の具体的な内容は、火力発電所取水設備の周辺地盤の強化や、津波到来時に燃料船を緊急的に桟橋から離す設備の設置などです。復旧計画としては、被災時の要因確保や手順・ルールや、ほかの電力会社・自治体・自衛隊と連携する体制の整備などを行っています。

倉敷芸術科学大学

倉敷芸術科学大学のBCPでは、緊急時の優先業務や職員の参集フロー、危機対策本部の設置要領などが策定されています。地震発生時に大学の機能を早期復旧・再開させるため、担当部署・勤務時間内外・対応目標時間別に優先業務を詳細に整理。職員参集フローや危機対策本部については、緊急時に活用できるよう簡潔にまとめられています。