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公立学校のBCP模擬訓練や防災訓練の事例

このページでは、公立中学と公立小学校のBCP対策例を紹介しています。予算や生徒数、環境などに応じてBCP対策は変わりますが、実際の事例ですので参考になる部分も多いでしょう。学校のBCP対策を検討している方は、ぜひ、ご一読ください。

学校のBCP模擬訓練の事例

東京都江戸川区立小松川第二中学校

課題

荒川の側に位置していて、過去に数度の水害を経験しています。地震や水害の緊急時には、避難所としての防災機能を果たすことができないので、老朽化による建て替えにより荒川のスーパー堤防及び東京都再開発事業で河岸部に盛土された敷地に移設されました。

取り組み/実施内容

スーパー堤防によってできた高低差を活かし、地下1階、地上4階の校舎を建設しました。地下1階の武道場は資材の搬入口となり、飲料水用となる受水槽は2階バルコニー、屋上にはエアコン室外機やキュービクル、プールを整備しています。

避難所に必要な各種整備を、浸水を考慮した上で設置しています。

電力・ガスも災害時に停電しても最低限の電気機器が使用可能なように設置され、プール水や受水槽の災害時利用に備えています。

結果

地震時に地域住民が避難する場所として、救命避難期、生命確保期、生活確保期に必要となる防災機能を確保しています。避難者の生活をサポートするために必要な食料や水などは、学校内に設置している備蓄倉庫の物資を活用できます。

さらに災害発生時の学校施設の対応は避難所開設・運営マニュアルや災害時用設備の利用マニュアルも策定しています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdfL

大阪府箕面市立箕面小学校

課題

箕面市では箕面小学校を避難所に指定していました。しかし教室や体育館での長期にわたる避難所生活の環境を改善するため、機能性の向上を図ることが必要とされていました。

東日本大震災、熊本地震での教訓から、市民からも避難所としての学校施設の防災機能への要望も高まり、整備強化を図ることとなりました。

取り組み/実施内容

箕面小学校は地震・水害・土砂災害等による避難所としての役割を担うため、体育館のエアコン整備を行いました。LPガスを用いた空調システムを導入し、夏は冷房、冬は暖房に切り換えられます。

電源確保としてLPガス自家発電機と太陽光発電が設置され、平常時には一部を学校の電力に使用しています。

空き教室には3日分の水、食料等を備蓄し、消費期限をみながら備蓄品の入れ替えも行っています。

結果

小学校校区ごとに地域住民による地区防災委員会が設置され、災害時の避難所開設や運営、日常の防災訓練などの指導的役割を担っています。

平時でも校内の会議室を活用し、定期的に学校と防災機能向上に向けた訓練や、非常時の役割、備蓄のあり方などについて協議を行っています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdfL

神奈川県伊勢原市立伊勢原小学校

生徒数 629人
教員数 40人
想定災害 地震、土砂災害、暴風、竜巻、豪雨、洪水
整備した建物 校舎、屋内運動場

防災機能整備の経緯

伊勢原小学校は、地震や風水害が発生した際に開設する広域避難場所兼広域避難所として指定されていることから、周辺住民の避難先となっています。さらに、自治会長・校長・市職員によって伊勢原小学校避難所運営委員会を構成しています。年1回運営会議を開催し、避難者や負傷者などの受け入れ場所、避難所運営の実施方法の確認などを行っています。

取り組み、実施内容

同校では昭和54年に鉄筋校舎に改築し、体育館を新築しました。さらに平成10年には西校舎耐震工事、平成18年に東校舎耐震補強工事を行っています。

そして避難所として必要となる防災機能を確保するため、100トン飲料水兼貯水槽の整備を行っており、断水時に給水場所としての役割を果たすことができます。防災備蓄倉庫には10年保存水を備蓄することで、避難者用の飲料水を確保しています。また、備蓄スペースは児童用と避難者用に分けて整備し、災害時用の食料としてパンと水を整備するなど、さまざまな備蓄を行っています。

その他、体育館の居住環境を整備するため、民間企業との協定によりスポットクーラーをレンタルで確保するなどの取り組みを行っています。

地域防災力向上につなげる取り組み

伊勢原小学校では、避難訓練に合わせてシェイクアウト訓練(一斉防災行動訓練)を実施しています。さらに、防災講習においてはPTAが主催する「親子で学ぼう!災害体験」に合わせ、保護者への引き渡し訓練や炊き出し訓練、消防車等の乗車体験などを実施するといったように、防災教育にも取り組んでいます。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

愛知県大府市立大東小学校

生徒数 483人
教員数 33人
想定災害 地震、洪水、豪雨、暴風
整備した建物 校舎、屋内運動場

防災機能整備の経緯

大東小学校の体育館の床レベルは海抜3.3m、グラウンドレベルは海抜2.2mなので、基本設計の段階において、建物床レベルを東海豪雨の浸水深よりも下げています。さらに、東南海地震液状化危険度分布から可能性が高い地域でもあるため地盤改良と盛り土をしました。また、周辺地域への雨水流水を抑制するために、グラウンドと校舎地下に合計約7,500㎥の雨水貯留機能を持たせています。

取り組み、実施内容

同校では、避難所として指定されていることから必要設備にも気を配っています。例えば、災害時の水洗トイレは体育館の1階、グラウンドのトイレは屋外トイレを確保しています。また、マンホールトイレはプライバシーの観点からプール管理棟の屋内に設置するなど、避難者のプライバシーや衛生面を考えた施設づくりを行っています。

地域防災力向上につながる取り組み

自主防災会をはじめとする各種団体や、企業などが参加し、地域ぐるみで防災訓練を実施しています。学校では避難訓練や保護者への引き渡し訓練に取り組んでいます。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

京都府京都市柊野小学校

生徒数 556人
教員数 27人
想定災害 地震、洪水、土砂災害
整備した建物 校舎、屋内運動場

課題・経緯

もともと老朽化が指摘されていた体育館でしたが(昭和50年代築)、東日本大震災をきっかけに、安全性と快適さを備えた避難所としての役割も担う施設として、その機能強化が議論されていました。 平成24年、体育館に関する「防災機能強化等整備構想」を作成。地域の避難所として市からの選定を受け、体育館の全面改修整備が進められることとなりました。

取り組み、実施内容

体育館の改修については、外壁や屋根に断熱材を施し、また開口部に複層ガラスを採用し、館内温度の安定化と建物の長寿命化を図りました。暖房確保については、京都市の豊富な森林資源を活用したペレットストーブを導入。電気・ガスが途絶えた際の代替燃料としても利用可能です。 館内の照明は長寿命化と電力使用量の抑制を考慮してLED化しました。また、電力確保対策として、太陽光発電15kW、蓄電池30kWhを整備。備蓄対策として、体育館の舞台袖床下や空き教室などを備蓄倉庫として活用しています。

災害時の対応計画

東日本大震災を受けた京都市の運営マニュアルに基づき、小学校でも自主防災組織の運営を具体的に検討。市職員や学校関係者との協力、および観光客などの帰宅困難者への対応も協議中です。 なお、平成30年の西日本豪雨や台風21号の際の反省を踏まえ、混乱防止や動線確保のため、たとえ避難者が少人数であっても本部と避難者スペースを別々に設置するよう計画しています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

香川県多度津町立多度津中学校

生徒数 551人
教員数 44人
想定災害 地震、暴風、竜巻、洪水、豪雨
整備した建物 校舎、屋内運動場

課題・経緯

昭和30年に建設され、鉄筋コンクリート建築物の耐用年数の目安とされる50年を超過。南海トラフ地震も懸念される背景から、平成22年度より改築に向けた検討が始まりました。 検討のベースとなる考え方として、同校は町内唯一の中学校でもあることから地域の防災拠点機能を備えることを重視しました。過去の町内における浸水被害等を考慮し、物資・資材の保管スペース確保なども念頭に置いた検討が進められました。

取り組み、実施内容

主な避難スペースは体育館2階。要支援者や高齢者もスムーズに移動できるよう、入口となる1階では段差をなくし、2階の避難所へと移動できるエレベーターを設置しました。 トイレは、多目的トイレのほか、様々な災害に対応できるようタンク式と非タンク式の両タイプを設置。飲料水確保のため、駐車場内には防火水槽を完備。 エネルギー対策として、軽油を用いた自家発電機、太陽光発電機、蓄電池を導入。食料については、最大1,000人分の備蓄を行っています。

災害時の対応計画

校舎と体育館との間に広場と設置。初期避難時の集合場所として、また、物資の搬入や救急車両の侵入スペースとなるよう想定しています。 また、教育スペースと避難スペースとの間にはシャッターを設置。生徒と避難者の動線を分ける設計としています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

熊本県合志市立合志小学校

生徒数 279人
教員数 23人
想定災害 洪水、地震、暴風、竜巻、豪雨、土砂災害、噴火
整備した建物 校舎、屋内運動場

課題・経緯

恒久化した校舎(昭和36年築)の建替えが計画され、平成18年より新校舎の建設が竣工。「地域の交流拠点としての学校づくり」を建替えの目的とし、地域の方々が利用できる家庭科室(調理室)や多目的ホール、地域交流棟などが設けられましたが、 新校舎の仕様がそのまま避難所にも適用できることから、防災面のコンテンツも拡充させることとなりました。

取り組み、実施内容

避難所を想定した取り組みとして、太陽光発電設備40kW(22kW と 18kW の2基)を設置。合わせて、災害時の飲料水対策として、30㎥の受水槽を設置しました。受水槽の地下には雨水を貯蔵するタンク(240㎥)と濾過装置も設置しています。 普段は地域交流の場となる多目的ホールや地域交流棟、ワークスペースなども、災害時には様々な目的で活用される予定です。

災害時の対応計画

地域交流棟は扉による仕切りができるため、災害時に避難所として活用する際には、教育エリアと避難エリアを区分けすることが可能。災害時でも、子供たちは安心して授業を受けることができます。 また、家庭科室は体育館に隣接するよう設置したため、災害時、避難者の炊き出しもスムーズに行えます。外部から救援物資を運搬する動線も計画済みです。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

北海道釧路市立大楽毛(おたのしけ)中学校

生徒数 133人
教員数 19人
想定災害 地震、津波、洪水・豪雨・高潮
整備した建物 校舎、屋内運動場

防災機能整備の経緯

大楽毛中学校がある大楽毛地区は、住宅と平屋建ての工場が多く、高さのある建物が少ないことから、10m以上の高さを持つ大楽毛中学校が避難所として指定されています。津波に関するシミュレーションによると、大楽毛地区は5〜10m弱ほどの津波到達が予想されているため、同校が地区の津波避難所かつ地域のコミュニティ拠点となっています。

取り組み、実施内容

上記のように、大楽毛中学校は避難所として指定されていることに加え、地域からの要望もあり屋上までの外階段を増築しています。この外階段へ進入する場合には、避難者が入り口にあるプラスチック板を壊し、鍵を開けて入れるようになっています。また、校舎、体育館、外階段等の入り口部分にスロープを設けています。

同校の屋上はおよそ700人が避難可能なスペースがあります。備蓄倉庫は屋上と校舎の3階に設置しており、津波の水が引くまでは屋上に滞在し、状況を見つつ3階の教室に移動できるようにしています。

また、避難時の居住環境を確保するため、それぞれの教室に日が当たらない外気を取り入れ、循環させる換気装置を設置しました。体育館は灯油を使用する高温風暖房機を設置することで冬季の寒さに備えています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

和歌山県和歌山市伏虎義務教育学校

生徒数 703人
教員数 49人
想定災害 地震、津波、洪水
整備した建物 校舎、屋内運動場

背景

平成24年に伏虎中学校校区の小中一貫校建設が決定したのち、平成29年に伏虎義務教育学校が建築されました。和歌山市においては、地震や津波、風水害、土砂災害などが発生した場合、学校が避難場所として位置づけられています。東日本大震災の被害状況、東南海地震などにおける津波の想定などから、後期課程用の体育館を3階に整備していることに加えて、学校の屋上・後期課程用の体育館に避難できる屋外階段の設置が行われています。

取り組み、実施内容

具体的な取り組み内容としては、津波からの避難を行うための外階段の確保や飲料水の確保、エネルギーの確保 備蓄、後期課程用体育館の空調設備、広い廊下と強化ガラスの設置といった取り組みが行われました。

例えば外階段の避難については、地震や津波の発生などの緊急時には地域住民は緊急避難場所である校舎の3階以上に避難することになっていますが、その際には避難所運営員や避難所緊急開放協力員が誘導をおこないます。この時、避難所緊急開放協力員も外階段を解錠できるように鍵を預けるようにしています。また、屋上部は300人の避難者を想定した広さが確保されています。

平時より防災に関する取り組みを行っており、前期課程の児童は防災に関する劇の発表や、防災に関する看板づくりなどを行っています。こうした動は多くの保護者の目にも触れるため、家庭における防災に関する話題作りにも役立っています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

愛媛県松山市立東雲小学校

生徒数 404人
教員数 25人
想定災害 地震、洪水、津波、土砂被害
整備した建物 校舎、屋内運動場

背景

東雲小学校では、以下の三つの理由で校舎の改築が検討されていました。(1)施設が老朽化していた。(2)敷地が国有地の借地だったので毎年借地料が発生していた。(3)児童数が大幅に減少していた。検討の結果、東雲小学校と東中学校を併設する改築を実施しました。

小学校は、洪水や津波、地震などが発生した際の避難場所に位置づけられています。学校の周辺は150年に1度の確率で洪水、川の氾濫などが起こる可能性があるため、校舎の改築後、避難所となる体育館が隣接する教育研修センターを4階に置くことで水害対策をしています。

取り組み、実施内容

上記に加え、防災機能強化が行われています。例えば校舎の屋上に小中学校が使用できるプールを2基設けていますが、このプールの水は学校が避難所として使用される場合にトイレの水として使用できます。また、下水路の耐震化も行われています。

学校敷地内には、応急給水栓を確保して給水所の確保を可能にするエネルギー確保の対策、雨水の流水を抑制できる地下ピットの設置などさまざまな取り組みを行なっています。

平時では、1~6年生まで横断的な防災教育を年間カリキュラムに組み込んでいます(低学年は年2〜3時間、中学年は5〜6時間、6年生は10時間程度)。また、避難訓練も4〜5回程度実施。過去には、愛媛大学の留学生と一緒に避難訓練を行ったこともあります。大学側の避難訓練に小中学校が参加することもあります。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

鹿児島県曽於市檍小学校

生徒数 32人
教員数 9人
想定災害 地震、火災
整備した建物 校舎、屋内運動場

背景

地域住民から災害発生時の避難所として、小学校の体育館を整備してほしいという要望がありましたが、体育館は昭和40年代に建てられていて老朽化がかなり進んでいたので、避難所としての機能を持つ体育館への改築が検討されました。当初は地震・洪水・火災・土砂災害などからの避難も検討されていましたが、同校の裏にある山が土砂災害警戒区域に指定されたので、防災機能整備にあたり対策する災害を地震と火災に設定して改築を実施しました。また、土砂災害の危険性については、砂防工事などを行い対策済みとなっています。

取り組み、実施内容

防災機能の整備では、避難所へのアクセスを良くするために必要に応じてグラウンドに駐車ができるようにしています。学校の敷地が小高い段丘上にある点から車での避難が主となり、さらに駐車場が狭いといった事情がありました。また、避難所として使用される体育館は、集積材を使用することで体育館内部の温度変化を緩和し、快適性を保つとともに、採光を十分に配慮した設計となっています。断水等の非常時には、隣接するプールの水をトイレの洗浄水として使用することができます。

地域住民からの要請もあり、避難所生活の環境改善のため多機能トイレ・更衣室・脱衣所・シャワー室の整備に加え、非常用発電機を設置し、停電時の電源を確保できるようにしています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

群馬県前橋市桃井小学校

課題

市役所に隣接する市内中心部にあり、近隣小学校との統合をきっかけに地域の複合施設として改築を行いました。改築に際しては学校としての施設利用の在り方だけでなく災害発生時における避難所としての在り方にも留意する必要があり、災害時における学校再開を意識した詳細な利用計画の測定や体育館への物資搬入を円滑に行えるような動線計画を考える必要がありました。

取り組み/実施内容

改築に際しては防災倉庫やマンホールトイレなどの防災機能を新たに整備しました。学校施設を計画するにあたっては通常、学校に求められる機能について教育委員会が中心となって検討を進めることになりますが、防災機能に関しては防災部局と連携を図りながら計画します。本取り組みについては市や学校、地域で連携することにより、避難所配置図として実施しました。

結果

体育館内入口付近にある校舎内の倉庫を防災倉庫(備蓄倉庫)として設置し、発災直後に必要となる最低限の物資を備蓄しています。また、体育館内にはWi-Fi機器も配置しており、将来的に情報設備を整備することも見据えて空配管を回しました。竣工後には避難所となる体育館にもアクセスポイントを設置しています。また、体育館内部にはバリアフリー対応のトイレも整備し、付近には簡易トイレを設置できるマンホールも配置しています。

参照元:【pdf】文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdfL

三重県四日市市橋北小学校

課題

東日本大震災を受け、遠くに避難ができない場合に津波から命を守るため、津波浸水区域内に立地する小学校や中学校が津波避難ビルとして指定されており、その一つに橋北小学校も指定をされています。津波避難ビルに指定されるにあたり各種設備の整備・設置が必要になったことから、防災機能の整備が進められました。

取り組み/実施内容

橋北小学校は大規模津波に備えた緊急避難場所としての機能も有する学校として、大型発電機の設置も行い電力確保を行っています。さらに自動オープン鍵付き防災ボックスの設置や屋外避難階段、屋上手すり、自家発電装置の整備なども行っています。ガラスが飛散しないよう窓ガラスに飛散防止フィルムを貼り付け、屋内運動場の改修工事で吊照明の落下防止・電力使用料削減のためLED照明にするなどの改修を行っています。

結果

各取り組みを行った結果、屋外避難階段や屋上の避難スペースを利用した避難訓練の実施、土鍋を使った炊飯の試みなど、地域と連携した防災学習会の開催につながりました。平時の教育活動でも設備を活用することができています。また、発災時において早期に教育活動を再開するための施設利用計画策定や避難所運営における共通理解の促進、避難動線や物資搬入動線の設定など、災害時にスムーズな対応ができるよう環境整備が進められています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdfL

新潟県長岡市東中学校

課題

東中学校は改築前の建物が昭和30年代に建てられたものであったことからコンクリート部材の劣化が懸念されており、平成15年に改築の検討を開始・翌年度に基本計画の策定作業を実施しました。その計画が固まりつつあった平成16年には新潟県中越地震が発生したため多くの市民が避難生活を余儀なくされました。被災中トイレの使いにくさやプライバシーの問題、床が冷たいといったさまざまな問題が生じたため、地域の避難所として必要な基本機能を設計に組み込み改築を進めています。

取り組み/実施内容

災害時にプロパンガスを都市ガスの調理器具で使えるガスに変換するための変換機接続口の設置や停電時に外部から電元社を導入するための接続盤、劇面に輻射式のガス暖房機を設置するなど行っています。また、体育館が避難所となった場合における風通しを考え強化ガラスを採用した開閉自由な窓の設置、1,000人が3日間飲料水を使用することを想定した受水槽の確保、避難時に使用できるビッグルーフの導入などを行いました。

結果

東中学校では災害発生時に避難所を開設しながらも学校教育を早期に再開するため、避難者の生活エリアと教育のためのエリアを分離できるよう扉を設けています。また、中越地震の経験を活かし地域住民の生活をサポートするスペースとして畳敷スペースやプライバシーに配慮するスペースの設計を実現しています。さらに社会教育のために学校開放も行っており、体育館の入り口の動線確保に取り組んでいます。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」(https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdfL

青森県むつ市立脇野沢小学校・関根中学校

生徒数 脇野沢小学校:13名/関根中学校:19名
教員数 脇野沢小学校:10名/関根中学校:12名
想定災害 洪水、土砂災害、地震、津波、暴風、竜巻、豪雨、豪雪
整備した建物 校舎、屋内運動場

防災機能整備の経緯

脇野沢小学校と関根中学校は、児童・生徒の減少と老朽化を背景に、小中一貫教育を行っており、同じ敷地に設置されています。想定する全ての災害において学区内の全地域を対象とした緊急避難場所に指定されている学校です。東日本大震災時、両校は停電し、避難所への誘導や避難所生活が困難となったことから、地域住民により、学校施設の安全性確保と防災機能強化が強く求められていました。

取り組み/実施内容

脇野沢小学校と関根中学校では、市教育委員会や地域住民と連携し、アンケートやワークショップを通じて防災機能を強化した学校施設計画を策定しました。冬季の暖房やバリアフリー化、多目的ホールやトイレの設置など、地域の声を反映した設備を整備。停電対策として両校とも太陽光発電と蓄電池、関根中学校にはディーゼル発電機も導入し、燃料供給体制を確保しています。避難所運営では、教育エリアと避難エリアを分離し、動線の錯綜を防止。多目的ホールは平時、交流や地域行事、災害時は避難所や要支援者の受け入れ場所として活用しています。冬季の避難誘導や物資搬入も考慮し、太陽光発電による外灯設置やアクセス動線の工夫も行っています。

地域防災力向上につなげる取り組み

地域の避難場所として求められる暖房設備や多目的ホール、多目的トイレを設置しました。学校にガス設備はないものの、緊急用にガスボンベを常備。炊き出しに利用できるようにしています。学校教育の早期再開を見据え、避難エリアと教育エリアを分離した施設計画も整備しました。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」( https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

岩手県釜石市立鵜住居小学校・釜石東中学校

生徒数 小学校:154名/中学校:99名
教員数 小学校:14名/中学校:15名
想定災害 地震、津波、洪水
整備した建物 校舎、屋内運動場

防災機能整備の経緯

築40年以上が経過して建て替えを検討していたところ、東日本大震災で壊滅的な被害を受けたことから、学校施設の整備を本格的に検討し始めました。敷地は高台にあるため、地域のコミュニティの核として、また緊急避難所として、開かれた施設にする必要があります。できるだけ市内中心部に位置させたいとの地域の要望が強かったため、小学校と中学校が同一敷地内に建設されました。幼稚園も敷地内にあります。

取り組み/実施内容

洪水・土砂災害緊急避難場所に指定されており、すでに学校内の施設や防災機能は地域住民に定着しています。2019年ラグビーワールドカップが開催された際は、災害が発生した場合の避難を想定して避難体制が講じられました。学校側、保護者、地域住民の意見を反映した学校建設が行われ、都市計画変更や用地交渉、造成工事と進み、建築の実施計画、建設工事と順番に進みました。学校自体の津波への安全対策と、避難者をどこからでも受け入れられる動線確保、地域のコミュニティ拠点としての機能確保をコンセプトに、防災機能強化に取り組んでいます。

地域防災力向上につなげる取り組み

東日本大震災時の飲料水確保の苦労を教訓に、雨水を活用するための貯留槽を設置。飲料用としても使用でき、1000人で8日間の確保が可能です。地域住民からの要望で、小中学校の共用で、発電機1基を導入しました。塩害によるさび防止のため、小屋を設けています。暖房用にはLPガスを1基設置。非常食や飲料水は、500人3日分を確保しています。校舎周辺の通路や廊下には、視覚障害者のための誘導用点字錨を設置しました。また、学校教育の早期再開を見据えた計画として、避難エリアと教育エリアを分離した施設利用計画を策定しています。物資搬入時の動線も確保できました。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」( https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

宮城県東松島市立鳴瀬未来中学校

生徒数 212名
教員数 24名
想定災害 地震、津波、暴風、洪水、土砂災害
整備した建物 校舎、屋内運動場

防災機能整備の経緯

東日本大震災で被災した地域の小中学校の復興に向け、将来の防災機能整備も含めて、市・学校・地域住民・自主防災組織の代表・PTAなどが集まりワークショップなどの検討が行われました。安全な高台への学校移転が議論され、鳴瀬第一中学校と鳴瀬第二中学校が統合されることに。津波避難を重視した防災機能を有する鳴瀬未来中学校として高台に建設されました。

取り組み/実施内容

地域の防災計画として、津波警報時は、高台の神社や公民館に一次避難をし、二次避難として鳴瀬未来中学校へ避難するという動線になっています。避難生活の中心となる体育館は2階に設けました。海抜約7.5mの位置です。体育館で受け入れ可能な人数は約400人。場合によっては校舎も開放することになっています。学校建設にあたり、市教育委員会と防災部局・建設部局が連携し、構想段階から学識者のアドバイスも受けました。

地域防災力向上につなげる取り組み

避難所となる体育館には外部階段とスロープで直接アクセスができるようになりました。エレベーターも利用可能です。家庭科室を災害対策本部にするため、体育館に隣接した位置に配置。市の職員が常駐して防災無線で市の対策本部との連絡調整を行う体制です。非常時に使用するコンセントやIHコンロも整備。乳幼児のミルク用のお湯を沸かすことを想定してガスコンロも1つ用意しました。2階の体育館につながる1階部分には多目的スペースを設置して、学校と地域をつなぐスペースとして活用しています。備蓄は3日分として4000食分を用意。アレルギーに配慮した乳幼児用のミルクも備蓄しています。太陽光パネルと蓄電池を備え、非常用発電機用の接続盤は浸水対策として高い位置に設置しました。避難エリアと教育エリアはシャッターで分離し、動線が混在しないようにしていますが、要介護者や状況によって教育エリアでの避難生活もできるようになっています。

参照元:文部科学省「避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集」( https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf

公立学校は地域避難所の役割を担っている

学校のBCP対策で重要なことは、第一に生徒の命を守り、次に災害時の地域住民の避難所として機能する事が求められています。

そのために人数や想定災害、災害時のマニュアル、人の役割など、普段から施設がどのように機能するか把握し、訓練しておくことが大切です。

下記ページでは、学校におけるBCP対策の基本をまとめていますので、参考にしてください。

学校の防災マニュアルの作成についてはこちら