BCPのプロ池田商会に問い合わせる BCPのプロ池田商会に問い合わせる

長期間に渡る避難所生活とBCP対策

近年、日本国内では阪神淡路大震災や新潟県中越地震などをはじめとした自然災害が起こってきました。災害が収まった後でも、いまだもとの生活に戻れず、避難所生活を強いられている人々がいます。ここでは、そうした避難所生活の長期化問題とBCP対策について見ていきましょう。

目次

避難所の長期化問題

避難所は災害発生後「7日間」が開設期間

自然災害によって自宅での生活が困難となった場合、被災者は避難所で生活することになります。実は、この避難所の開設期間は災害発生後から7日間が基本です。しかし、実際には災害の収束後も自宅に戻ることができず、何ヶ月もの間避難所での生活を強いられている人が少なくありません。

例えば、熊本県を襲った豪雨災害から3ヶ月が経過した2020年10月4日時点では、被害を受けた人吉市、球磨村、八代市、芦北町、あさぎり町から避難してきた被災者、約700人が県内各所の避難所での生活を送っているのです。

事例1:阪神淡路大震災

阪神淡路大震災から6日後の1月23日時点での避難所の状況は、1153ヶ所の避難所に合計31万6678人が避難していました。この膨大な数の避難者は、自治体の想定を大きく越えたもので、自治体が避難所として指定していた学校などの公共施設には収まりきらず、多くの人が避難所としては指定されていない公園や民間の建物に避難せざるを得ない状況となっていました。また、避難当初は食事や生活必需品も十分に配給されなかったケースも見られます。

事例2:新潟県中越地震

新潟県中越地震では、通常の避難所はもちろんのこと、温泉旅館の借り上げや自衛隊のテントなどを活用するなどの施策が取られました。避難所の状況は、ピーク時は約600ヶ所の避難所に最大およそ10万3千人が避難していました。災害発生から約2ヶ月を経て、ようやく破損した住宅の修繕や仮設住宅の整備が進んだことで長岡市や小千谷市の学校体育館などで避難生活をしていた最後の避難者が仮設住宅への入居を済ませました。そして、12月22日にようやくすべての避難所が閉鎖されたのです。

事例3:東日本大震災

東日本大震災では、災害発生から1週間の時点で避難所生活者数は実に50万人近い数となっていました。2週間後になると避難所生活者数は約半数の25万人となりますが、3週間後から3ヶ月後までは避難者数の減り方は大幅に遅くなり、3ヶ月後の時点でも避難者数はまだ6万人近く残っています。また、避難所での生活に関しても、女性用物干し場がない、生理用品が十分に配給されない、プライバシーが十分に確保できないなどのさまざまな側面での不便が訴えられていました。

事例4:熊本豪雨

熊本豪雨では、災害発生から避難所生活の長期化が問題とされてきました。災害から3ヶ月時点でまだ700人が県内の避難所で生活をしている状況。加えて破損した自宅で生活をしている在宅避難者も数多くいる状況でした。熊本県から在宅避難者の可能性が高いとされている避難者は、人吉市と球磨村の計611人となっていました。また、全半壊した住宅はおよそ4500棟となっている反面、仮設住宅や公営住宅への入居が完了したのは755戸にとどまっていました。球磨村にて避難者の生活状況の聞き取りを行ったところ、生活習慣病の悪化や精神状態の浮き沈みを訴える声のほか、日毎に移動するために所在がつかみにくい避難者もいるという問題も明らかにされました。

避難所の取り組み事例

高山村 保健福祉センター

高山村 保健福祉センターは、地域の保健センターとして運営されているほか、保育所、児童館、デイサービスといった各種サービスも行っている施設です。敷地面積は約2,500平方メートル、建物の延べ面積は2,293.15平方メートルと、かなりの広さがあります。非常時には287名が避難することができ、避難所・福祉避難所・炊き出し場所としての機能も持っている施設です。

この保健センターでは、特に電力確保のための取り組みを行っています。もともとは電力会社から購入した電力で空調、照明、コンセントなどの電力を賄っていましたが、リニューアル後は太陽光パネルと蓄電池を導入することで年間のエネルギーコストを削減。さらに、悪天候などで電力確保が難しい場合は電力会社から電力を購入、さらにLPガスで駆動する空調や発電機を確保するなど、複数の電力供給先を用意することでリスクを分散し、停電時でもできるだけセンターの機能を果たせるようにしています。

東吾妻町の役場庁舎

東吾妻町のコンベンションホールは、もとはスーパー銭湯だった建物を改装・増築したというユニークな施設。2019年に庁舎機能を移転しました。

災害時には1000人もの大人数を収容できる施設となっており、避難所としての安全性を確保するために、移転時に耐震性能を増強するための工事に加えて、防災と低炭素化も取り入れています。

従来は、照明や空調などの電力は電力会社から購入して賄っていましたが、庁舎の身長に合わせて太陽光や蓄電池、LPガスの利用を始めました。これによって、災害時に備えた複数の電力確保手段を手に入れています。また、空調を電力会社からの電力供給で賄っているのが大きな特徴。東吾妻町は夏でも涼しい気候なので、災害時には空調が停止しても問題ないという判断に基づくものです。

群馬県・嬬恋中学校

群馬県は嬬恋中学校も、災害時の避難所として指定されています。収容人数は250名。嬬恋中学校はかつて2019年の大型台風で被害を受けた際に、避難者から「スマートフォンの充電ができる環境を確保してほしい」という要望があったことから、非常用の電力供給源として体育館の蓄電池を設置。さらに屋根には太陽光発電パネルも設置しています。

ほかにも、校内の約900台の照明をすべてLEDに変更や天井の断熱化を行いました。特に評判が良かったのは体育館の照明で、生徒たちからは以前に比べて館内が倍近く明るくなったという声がありました。さらに、LEDに変更したことで一部だけ照明を点灯することができるようになり、電力の無駄な消費を抑えることができるようになりました。これによって、非常時に使うための電力を平常時に確保することができるようになったのです。

ほかにも、LED自体も調光タイプを採用することで、災害時には光量を落とすことで消費電力を抑え、できるだけ長期間照明を使えるようにもなっています。

BCP策定に使える補助金活用

BCP策定には、さまざまな補助金制度を利用することができます。ここでは、特に避難所の設備に使える補助金を見ていきましょう。

代表的な避難所の設備に使える補助金としては、「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(災害対応型バルクシステム補助金)」(※1)があります。この制度は、大規模災害発生時に電力系統やガスの供給が絶たれたときに、病院や老人ホームといった避難困難者が数多く発生すると考えられる施設や、学校の体育館や市民センターなどの一時避難所として機能する施設のライフライン機能の維持を目的としています。

災害対応型バルクシステム補助金は、一般財団法人エルピーガス振興センターが国からの補助金の交付を受けて行っている制度です。石油ガス災害バルクなどの設置を補助することを目的にしており、これによって災害発生時でも石油ガスの安定供給を実現することが狙いです。さらに、この制度を通して国土強靱化地域基本計画(※2)を推進するという目的もあります。

ほかには、非常用発電機を対象とした補助金制度もあります。この制度も、同じく災害時のライフライン確保を目的としたものですが、特に企業の経営幹部や防災対策を探している施設担当の方、BCP策定を検討している総務、管理担当に向けての制度となっています。

この制度の背景には、近年日本各地で頻発している自然災害への対応と、避難拠点や病院などのインフラ確保の重要視があります。そして、災害対策に重点を置く企業や団体が増加する中で、非常用発電機の確保に注目が集まってきたのです。そして、政府としても非常用発電機の普及を推進するために補助金制度を設けました。

※1 参照元:経済産業省 資源エネルギー庁公式HP/補助金募集要領(pdf)(https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2020/data/20210217_007_01.pdf)
※2 参照元:内閣官房公式HP/地域強靱化計画(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/tiiki.html)