BCPは一度策定しただけでは終わりではありません。十分機能するかどうか、定期的な見直しが必要です。見直すことで、より効果が期待できるBCPへと完成度が高まっていきます。ここでは、BCPの見直しのタイミングとポイントをまとめました。
見直しのタイミングとして分かりやすのは、防災訓練後です。内容も関連が深いため、防災訓練とセットでBCPの見直しをすれば、忘れることなく定期的な見直しができるでしょう。防災訓練でBCPが機能しているかを確認し、修正点などを話し合ってください。
また、事業内容や環境に変化があったタイミングもBCP見直しが必要です。事業の内容や規模、環境は、災害時のリスクに大きく影響します。以前のBCPのままでは機能しないかもしれません。
たとえば、「新サービスを開始したとき」「取引先が変化したとき」「新たな感染症などのリスクが発生したとき」「事業に関連する国や業界のガイドラインが改訂されたとき」などは、見直しのタイミングです。
ただし、従業員の連絡先は、安否確認に関係する重要事項のため、上記で紹介した見直しのタイミングに関わらず、即時で更新されることが望ましいとされています。従業員の連絡先が変更になった場合には、すぐに変更できる手順を策定しておきましょう。
BCPの見直しは、ポイントを絞らずに見直すと何から手を付けたらいいか分からなくなりがちです。ポイントをおさえて取り組むことで、やるべきことがスッキリします。見直す際のポイントを紹介しますので参考にしてください。
防災訓練とセットでの見直しでも伝えたように、BCPは定期訓練でブラッシュアップしていくことが大切です。定期訓練時は、目的を決めて取り組むことも重要なポイントのひとつ。訓練を行うことが目的になってしまうと、訓練の意味が希薄になってしまいます。訓練の目的としては、BCPの定着と見直しを意識してください。
定期訓練でBCPの見直しをすると目標を定めた場合、見直しの担当者も決めておきましょう。担当者を決めていないと、課題が見つかっても放置されがち。リードして課題をまとめる担当者が必要です。
見つかった課題は連携し、運用・システム・ツールなどの項目に分類しましょう。課題の連携方法を定めておくことで、見直しの都度、情報が同じ場所に蓄積し、検討しやすくなります。
見つけた課題は、基本的にはすべて見直しが必要です。しかし、課題が複数ある場合は、優先順位をつけて、重要なものからひとつひとつ見直していきましょう。
優先順位を決めるときは、事業の周りにあるリスクを洗い出し、分析・評価してください。その影響度によって、課題の重要度を決めます。事業の継続に影響を及ぼす変更や変化は優先順位が高いです。その中でも特に、どのような事象でも共通して発生することが想定される事態から見直していきましょう。
課題に優先順位をつけたら、順番に対策を講じていきます。対策を策定する担当者、期限などを決めて、対策実行計画を作成してください。具体的な計画を立てておかないと、後回しになってしまい、いざというとき役に立ってくれません。
費用がかかる対策が必要な場合は、概算コストも作成してください。
対策を策定できたら、次回の定期訓練時に内容をチェックします。こうして検証を繰り返すことで、BCPがブラッシュアップされ、より実効性が高いものになっていくのです。
訓練と見直しを繰り返すにつれ、BCP関連のマニュアルは、手順を記載する書類が増えていきやすいです。マニュアルのボリュームが多いと、いざBCPを発動する際、手順の確認に手間取り、やるべきことにスピードが追いつかない事態になりかねません。それではBCPが役に立たないのと同じことです。BCP関連のマニュアルは、何をするのかという流れが理解しやすいよう、シンプルにまとめてください。チェックリストやフローチャートを使うと使いやすくなります。
BCPの見直しをする中で、現場で判断しづらい要素が、事業環境の将来変化です。将来の展望を決められる経営層がチェックすべき部分となります。事業環境の変化に関わる項目は、現在のBCPと将来のBCPについて、経営層と話し合って見直しましょう。
このように経営層と定期的に話し合いながらBCPを見直すことは、BCPの精度を高めることはもちろん、BCPの実現でネックとなりやすい現場の協力や部署間調整などがスムーズになるというメリットもあります。