BCPは、導入する企業や団体によって施策が異なります。
では大学ではどのようなBCP対策が求められるのか、様々な点から見てみるとしましょう。
大学もまた、BCP対策が必要とされています。
大学は企業同様、様々なデータを扱っていますが、企業とは異なり、営利を追求している団体ではなく、いわば研究。教育機関です。
そのため、BCP対策に於いても企業と同じコンセプトではなく、大学だからこそのBCP対策が求められます。
授業、生徒の成績や個人データ等、企業とは異なるデータを多々蓄積しています。むしろ近年は大学もIT化が顕著であることから、BCP対策が欠かせません。
大学のBCP対策として考えなければならない点は多々ありますが、何を優先して考慮すべきなのかについて解説していきましょう。
まずはBCP対策を行う目的を明確にしておきましょう。
BCP対策とはアクシデントが起きた際の復旧計画ですが、何を復旧したいのかを明確にすることで、具体的な施策も見えてくるものです。
「周囲が行っている」「何となく必要な気がする」ではなく、なぜ必要なのか、その目的を明確にすることこそ、大学のBCP対策の一歩目です。
BCPの対象を絞りましょう。
企業であれば営利活動に関わる部分ですが、大学の場合、自らの研究対象、生徒のデータなど幅広いデータを扱っています。
特に生徒の個人データは生徒の成績、ひいては生徒の将来がかかっている大切な部分です。
この点を優先しつつ、どこまで対策が必要なのか、その対象を明確にすることも大切です。
大学のBCP対策は個人で行える規模ではありません。
大学組織で考え、実践すべきものです。そのため、BCPのための組織体制も考慮する必要があります。
いざやもしもが起きた時のために、どのような組織体制でBCPに向き合うのかによって、BCP対策の質も変わります。
個人の裁量に委ねるのではなく、BCP対策のための組織体制を構築しておきましょう。
実際にBCPを実践しなければならない時、どのようなタイムラインで行うかも事前にシミュレーションしておきましょう。
理念や目的だけを掲げるのではなく、実際にシステムを復旧させることこそ、BCP対策の肝です。
それぞれシチュエーションに応じてタイムラインは異なるものですが、シチュエーション毎にタイムラインを制定しておきましょう。
大学が最も考慮すべき点、それは「授業の継続」です。
トラブルやアクシデントが起きてしまうのは致し方ありませんが、結果、授業を停止することになると、生徒の将来が変わります。
生徒から不信感を抱かれると、大学の評判が低下しますが、世間体よりも生徒の将来に支障をきたす恐れがありますので、授業の継続・再開こそ大学のBCP対策の肝になる部分です。
大学としても復旧させたい部分は多々あるかもしれませんが、授業の継続・再開を一番に考えましょう。
実際に大学で行われているBCP対策をいくつかご紹介します。
事例を見ることで、BCP対策がイメージしやすくなるはずです。
学生や教授のメーリングリストを作成することで、いざという時に安否確認が行えます。
また、大学の場合留学生もいるかと思いますので、日本語だけではなく、多言語のメーリングリストを用意しておくとよいでしょう。
メーリングリストに連動したwebアプリにて、緊急時に何をすべきなのかや、災害のために用意しておくべきアイテムリストを用意したり、学生を主体としたボランティア体制の構築を行っている大学もあります。
もちろんwebアプリに関しても多言語に対応させておくとよいでしょう。
災害が起きた際、生徒の懸念はやはり授業です。
授業がどうなるのかは、進路等にも影響を及ぼす部分になりますので、災害が起きたとしても、地域の施設の使用、あるいはオンラインでの授業環境の構築など、授業時間を確保するための対策を行っている大学もあります。
受付窓口だけではなく、webサイトから単位認定や推薦書、各種証明書を発行している大学もありますが、このような大学であれば自然災害で通学できない生徒も、通学こそできないものの、授業の継続や申請等が可能になります。
大学は授業だけではなく、入学試験、卒業式、文化祭等様々な行事が開催されています。
それらに関しても、災害時にどのような形で行うかを想定している大学があります。例えば就職活動に支障が出ないよう、企業に何らかのアクションを行える体制を構築している大学もあれば、入学式や卒業式を別の場所で行えるよう体制を構築している大学もあります。
大学行事は生徒にとっても大切なものなので、代替案を想定しておく必要もあります。
大学は生徒への授業も大切ですが、研究施設もまた、大切なものです。
そのため、研究施設の復旧に関してのBCP対策も重要です。
実際、研究室に非常電源を設置したり、避難方法を策定している大学もあります。
大学にとって研究施設も財産の一つです。研究施設に蓄積されているデータが何らかの被害を受けた場合、元に戻せるかはその後の大学運営の肝になる部分です。
授業に関する部分も大切ですが、研究施設に関するBCP対策も講じておきましょう。