\BCPのプロに無料相談/ 防災設備からマニュアル作成・補助金のことまで、BCPのプロにまるごと相談してみよう

防災マニュアルの作成

文部科学省は学校BCP対策の基本となる学校防災マニュアル作成の手引きを作成しており、各学校はこれを参考にしながら独自に防災マニュアルを作成しなければなりません。各都道府県のマニュアル作成の手引きも含めて、その内容、ポイントを整理しました。

文部科学省の
「学校防災マニュアル作成の
手引き」に学ぶ

文部科学省は学校BCPのたたき台として学校防災マニュアル作成の手引きを用意しており、各学校は地域の実態や実情に合わせて独自の学校防災マニュアルを整備することが求められています。そこで、文部科学省のマニュアル作成の手引きを簡単にまとめてみました。

第1章 学校防災マニュアルについて

学校のBCP

学校の防災では、事前の備えが全ての対応の基本です。保護者や地域、自治体との連携が対応をスムーズにします。学校防災マニュアルでは、災害を未然に防ぐ事前の危機管理、被害を最小限に抑える発生時の危機管理、学校再開に向けた事後の危機管理、この3つのステップが必要であるとしています。

「備える」「命を守る」「建て直す」それぞれの場面を意識したマニュアル作成が重要であると同時に、家庭や地域、自治体との訓練における連携も大切です。

第2章 各学校における防災マニュアル作成上の留意点

学校防災マニュアルを作成する際は、学校が所在する環境特性を理解することが基本です。また、平常時の訓練等の実施による改良・改善により、より実践的なマニュアルにしていく必要があります。自然環境や社会環境は各学校によって異なるため、校内の状況や地域の人的状況を把握しながら、学校ごとの視点で作成することが大切です

災害発生時の各場面の対応について、マニュアルに基づいた訓練を繰り返し行い、危機回避のための行動パターンを身に着けましょう。訓練を適切に評価し、課題を明確にして改善や改良を図る必要もあります。

第3章 防災対応の段階とマニュアル作成のポイント

防災対応の段階を「備える」「命を守る」「建て直す」の3つの段階に分けて、フェーズに合わせたマニュアルを作成することが大切です

「備える」では、体制整備や備蓄、危険個所や避難経路、避難場所の点検、避難訓練、校内安全の中核となり、地域や関係機関と連携できる職員を育成するための研修等を実施する必要があります。

「命を守る」では、児童生徒の生命を最優先にした初期対応、二次対応について備えます。

「建て直す」では避難所協力や心のケアとともに、災害対応や事前に保護者との引き渡しルールを決めるなどの準備をしておく必要があります。

第4章 幼稚園、特別支援学校における
防災マニュアル作成上の留意点

幼稚園のBCP

幼稚園や特別支援学校の防災マニュアル作成にあたっては、年齢や心身の状態、特性に応じたよりきめ細かな配慮が必要です

預かり保育においては、多様な状況下での避難誘導や引き渡しが想定されます。また、障害のある児童生徒は自ら命を守り、避難しなければならない場面でさまざまな困難が予想されるため、家庭や関係機関などと連携した支援体制、対応計画が必要となります。

参照元:文部科学省_学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き(PDF)(https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/__icsFiles/afieldfile/2018/12/04/1323513_01.pdf)

各自治体防災マニュアル作成ガイドを参考に

文部科学省だけでなく、各都道府県教育委員会が学校の防災マニュアルの作成ガイドを示しています。より地域の実態に合った内容となっているため、学校独自の防災マニュアル作成の参考になるでしょう。自治体が提供しているマニュアル作成ガイドをいくつか紹介します。

宮城県「学校防災マニュアル作成ガイド(宮城県教育委員会)」

2011年に東日本大震災に見舞われた宮城県では、最大震度6弱の揺れが断続的に続き、揺れが収まらないうちに大きな余震も発生。津波や原子力による災害の経験もあったことから、マニュアル作成ガイドには、それぞれのケースに分けて事細かく対応がまとめられていることが大きな特徴です

大地震後、津波被害が想定される場合の対応と避難誘導、津波が想定されない場合の地震発生時の対応避難誘導について児童生徒の発達段階に合わせた内容がまとめられています。保護者への引き渡しが命を左右することもあるため、発生時の状況に合わせた対応についても説明しています。

原子力災害時に学校や園の初動体制や場面に応じた災害への対応についてまとめられていることも特徴的です。津波に関しては、警報や注意報の内容、津波の速さと高さなどについて別添資料で詳しく説明しています。

参照元:学校防災マニュアル作成ガイド(宮城県教育委員会 平成24年10月)(PDF)(https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/249454.pdf)

埼玉県「学校防災マニュアル
(県立学校版)」

埼玉県では、県の地域防災計画に則って学校防災マニュアルの手引きを作成しています。災害種別は首都直下型地震が想定されていることから、大地震に特化した内容となっており、災害発生時の授業日や夜間・休日の取り扱い基準についても提示。平常時と災害発生時に分けて対応を示すBCPの基本の形式となっています

防災教育の重要性とともに児童生徒が災害発生時にどのような状況にあるかで、避難指示の出し方をそれぞれ示しています。また、公共交通機関混乱時の対応、帰宅困難時の対応が示されていることも首都圏ならではと言えるでしょう。

災害時、学校が避難所となることを想定して「避難所の開設支援」に関するページを作成。高齢者や障害者など、要配慮者のための利用区、着替えや授乳など、プライバシーに配慮を要する利用区など、一歩進んだ避難所運営の在り方についてもまとめられています。

参照元:【県立学校版】学校防災マニュアル(埼玉県教育委員会 平成23年9月改訂)(https://www.pref.saitama.lg.jp/f2211/gakkoubousaimanyuaru.html)

熊本県「学校防災(地震・津波)
マニュアル作成の手引き」

2016年に熊本地震を経験している熊本県では、その教訓を活かしてBCP策定の基本に則り、「備える」「命を守る」「建て直す」の3つのステップごとにマニュアル作成の手引きを作成。いつ誰が何をどのようにやるべきかについて細かくまとめられています。

「備える」場面では、防災対応能力の育成、安全点検、保護者や地域、自治体との連家による連絡・連携体制、災害発生時に必要となる備品や備蓄についてまとめています。「命を守る」場面では、災害発生場面ごとの対応行動例を示し、児童生徒自ら命を守る具体的な手段を理解させるための対応を整理。事後の危機管理「建て直す」場面では、引き渡しや安否確認とともに避難所協力についてもまとめています。

熊本地震では223校の学校施設が避難所となり、最大2,000人以上を受け入れた学校もありました。そのため、あらかじめ地域や自治体と連携して避難所支援が行える体制づくりが必要だとしています。

参照元:学校防災(地震・津波)マニュアル作成の手引き(熊本県教育委員会 平成29年3月)(PDF)(https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/65206.pdf)